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触れるという行為は、人間にとって必要なことです。触れる行為をタッチングといいますが、人間の皮膚は臓器を覆うカバーなのではなく、身体の中で一番大きな感覚器なのです。人間の赤ん坊にはタッチングの必要性が強く見られます。ミルクと水を与えてタッチングを行わなかった赤ん坊は生きる事ができないと言われます。両親と触れ合う機会が少ないと赤ん坊の成長速度も遅くなり、体重が増えないなどのケースもあります。生まれる前には、赤ん坊は子宮内で母親の呼吸や心臓の鼓動を感じて育ちます。ゆりかごやブランコ、ハンモックなどが心地よいと感じる理由はその時の遠い記憶を懐かしむものなのかもしれません。触れ合う機会が少ないと、人は孤独感に襲われます。アニマルセラピーは、触れ合う機会の少ない老人が犬や猫を触ることで安らぎを得るという考え方のセラピーです。触れる事は、それだけですでに癒す事なのです。スキンシップをはかることで人も動物もほっとするというのは、紛れもない事実です。複雑な現代社会においては、映像文化や疑似体験の場が乱立していますが、原点は触れ合うことで人は始めて生きられる。そういうものなのです。 |
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触れ合うことで自分自身の存在を認識することにもつながります。誰かが自分に触れてくれると、「自分はここに存在している」ということを認識することができます。逆に自分が誰かをマッサージして身体に触れていれば、それは、「相手に気配りをしている」「愛情を伝えている」ということになります。互いに触れ合うことで、互いの存在を認識し、親密さを深めることになります。人は相手の存在があってはじめて自分自身を認識できるものなのです。こうした考え方は仏教では「空(くう)」といいます。存在という現象も含めて、あらゆる現象はそれぞれの関係性の上に成り立っているという教えです。 |
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タイマッサージは、別名「二人で行なうヨーガ」 という異名を持ち、レシーバーだけでなく、セラピスト本人の健康にも効果があるのが特徴です。アクロバティックなストレッチングポーズは、ヨーガのポーズを取り入れたもので、セラピスト自身の健康にも効果的であるといえます。代替医療の中でも、多くの施術法ではセラピストの腰に負担がかかります。同じ姿勢で一定の方向性で圧を加えていくからです。レシーバーが椅子に腰掛けていたり、ベッドに横たわっていたりする場合、どうしてもそうなってしまいます。ところが、マット一枚で行なうタイマッサージでは、セラピストがいろいろな姿勢をとりながら施術を行なうことでセラピスト自身への負担が最小限に抑えられるわけです。また、施術中にも、施術者本人がストレッチをしながら行なったり、自分自身のツボの位置にクライアントの身体の部位を押し当てたりすることで、実は施術者本人の健康にも効果があるのです。
もうひとつは、瞑想法を伴った呼吸法によります。人は寝ているときやリラックス状態にあるときには腹式呼吸をしています。緊張した状態では胸式呼吸をするものです。ブッダが悟りを得たときの呼吸を「アナパーナ・サティ」といいますが、これは「吐く息と吸う息に気づきを持つ」という意味の言葉です。ブッダはゆっくりと長く吐くことに意識を集中した呼吸で、名脳を完全なリラックス状態に保ち瞑想をしたと言われています。つまりセラピスト自身も腹式呼吸で施術を行うことで一種の瞑想状態になり、これはヨーガに匹敵するものであり、さらにはブッダの教えを実践することにもつながります。
圧迫では押す時にゆっくりと息を吐き、緩める時に息を吸います。深い呼吸で新しい酸素を取り入れながら、軽い運動をこなしているわけです。つまり、タイマッサージは、受ける側だけでなく、それを行なう側の健康にも良い素晴らしい施術法なのです。他の代替医療に従事していたプロの施術者がタイマッサージに転向してくるのは、こうした意味合いが大きいのかもしれません。 |
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タイの伝統マッサージが足にこだわるのはどういうわけなのでしょう。足のマッサージと肩のマッサージを同じ時間で、どれだけ肉体に変化が生じたのかを医療機器で計測して比較するという実験。被験者は前の晩に徹夜をして疲れています。血行が悪くなっているために血圧が通 常よりも高くなっていて、皮膚の表面温度が下がっている状態です。まずヌアボーラン手法により、足(足裏~脚の付け根部分)のマッサージを30分間行いました。すると足だけではなく、上半身全体の温度の上昇が見られました。また施術後には血圧が正常値にまで下がっていました。次に肩のマッサージを行いましたが、肩の温度がわずかに上昇しただけで大きな変化はみられませんでした。つまり、ヌアボーランに多く登場する足のマッサージは、その部分の筋肉をもみほぐすだけでなく、全身の他の部分にも、良い効果 をもたらすことが、科学的に立証されたわけです。 |
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足のマッサージのポイントが足の筋肉のポイントと一致していることもわかりました。足の筋肉の中でも大腿四頭筋と呼ばれる太ももの前面にある大きな筋肉を特にマッサージしたのです。それでは足の筋肉には、どんな秘密があるのでしょうか? ではその前に解剖学的な見地から身体の構造をちょっとだけのぞいてみることにしましょう。人間には自律神経という神経が全身に網の目のように張り巡らされているのです。この自律神経というのは内蔵や血液、ホルモン、免疫をつかさどっている神経で、自分の意志ではコントロール不可能なのです。手足の筋肉などは自分の意志によるものですが、これををコントロールするのは他の神経系です。身体が弱っていると、この自律神経の動きも緩慢になります。自律神経が正常に機能しないとどうなるのでしょう?まず内蔵ですが、何かを食べても胃腸が正常に動かないとしましょう。そうすると食物の栄養も吸収されなくなってしまいます。胃腸もさらに悪化するという悪循環に陥ります。次にホルモンですが、たとえば女性ホルモンのバランスが崩れると生理不順を招いてしまいます。そして、免疫力が低下すると風邪をひきやすくなってしまいます。このように自律神経は肉体にとって非常に大切な役割を担っているわけです。先ほどの実験では、足のマッサージによって自律神経が正常化されたと解釈できるわけです。自律神経が活発に機能すると基礎代謝もアップします。つまりそれはダイエット効果にもつながります。 |
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では、足の大きな筋肉をマッサージすることで、自律神経がコントロールできるのでしょうか?足の大きな筋肉には、自律神経が脳にある自律神経の中枢に働きかけるための特殊なスイッチがいくつもあるのです。特に足には腕の3倍ものスイッチが、何種類も存在しているのです。実験ではマッサージがスイッチに刺激を与え、それが信号となって脳に送られたというわけです。足は脳のスイッチだったのです。これがタイの伝統マッサージ・ヌアボーランが足にこだわる理由だったのです。このスイッチを入れるためには、あくまでも「適度な刺激」がポイントになります。強すぎても弱すぎてもいけません。痛すぎても脳はそれをストレスとして理解してしまいますし、刺激が弱すぎても脳はこれを理解できないのです。適度な刺激というのは、いわゆる「いたきもちいい」刺激なのです。 |
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タイ古式マッサージ「ヌアボーラン」の効能は、体の凝りや疲れを癒すだけではありません!最近では、このマッサージが病気の治療法として、タイの大学病院などで取り入れられるようになりました。日本国内においても、医師たちがタイ古式マッサージに目を向け始めているのです。ストレス社会と言われる現代、さまざまな病気がストレスを原因として発祥していることがわかっています。ストレス性疾患には、胃潰瘍、潰瘍性大腸炎、過敏性大腸炎、うつ病、自律神経失調症、インポテンツ、更年期障害、偏頭痛、不眠症、円形脱毛症など、多くの疾患などがありますが、TTMAの研究ではそれらにも効果があるとのデータがあります。タイの衛生省の掲げるヌアボーランの効能も、高血圧、冷え性、便秘、アレルギー、頭痛、糖尿病、生理不順、風邪の予防、低血圧、食欲不振、ぜんそく、貧血など、60種類以上にもなります。 |
器官系 |
胃弱・慢性胃炎・便秘・下痢・食欲不振・体力増強・老化防止・風邪の予防・高血圧・低血圧・貧血・血行障害・冷え性・生理不順・不妊症・ぜんそく・アレルギー |
体の凝り、疲れや痛み |
筋肉痛・腰痛・肩こり・眼精疲労・首や背中の凝り・リウマチ・膝の痛み・足のつり・足の疲れ凝り・疲れによる全身のだるさ |
美容系 |
肥満防止・太りすぎ・お腹を引っ込める・腹部の贅肉をとる・ウエストラインを美しくする ・足のむくみをとる・脚の線を美しくする・ 肌の新陳代謝促進・しわの減少 |
精神系 |
不眠症・ヒステリー・興奮を静める・イライラの解放 |
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